Geographical Indication MIE

2020年6月、国税庁により酒類の地理的表示(GI=Geographical Indication)「三重」として、三重県の日本酒が指定されました。例えば「ボルドー」や「シャンパーニュ」と名乗るためには、特定の地域内かつ、一定の基準や品質を満たして生産される必要があることをご存じの人も多いことでしょう。このように、日本酒について「正しい産地」であることと、「一定の基準」を満たして生産されたことを示すのが地理的表示(GI)です。また、商品の品質を保証するだけでなく、模倣品を厳しく排除する目的もあるので、消費者にとっては安心の証になります。

GI三重の生産基準

酒質の特性

総じて暖かみがあり、芳醇な酒質です。口に含んだ瞬間から旨味を感じさせる滑らかな舌触りにより芳醇さを感じさせます。一方、甘味や辛味はいずれも穏やかで、同時に、爽やかな酸味が鼻に抜けていきます。魚介類等の脂分が少なく、たんぱくな味わいの食材と合わせることで、食材の旨味が酒の旨味と相性が良く、特に貝類や甲殻類などと合わせて食中酒として楽しめます。

気候風土

三重県は日本列島のほぼ中央部にある紀伊半島の東側に位置し、北部から西部にかけては紀伊山地や1000mを超える鈴鹿山脈の山々が連なっています。夏季は太平洋を流れる黒潮の影響により温暖な気候ですが、冬季には「鈴鹿おろし」や「布引おろし」と呼ばれる乾いた寒冷な風が吹く冷涼な気候となります。さらに、比較的内陸部にある伊賀盆地は気温差が大きな気候となっています。
冬季に鈴鹿山脈に降り積もった雪や、日本屈指の多雨地帯である紀伊山地に降り蓄えられた雨水が、醸造に適した優良な水となって三重県全体に豊富に供給されます。このような気候や豊かな水資源により、三重の暖かみのある芳醇な酒質が形成されています。

人的要因

三重には伊勢神宮があり、江戸時代頃より「お伊勢参り」として全国から多くの参拝者が訪れていました。このような参拝者をおもてなしするための酒として、三重では酒造りが盛んに行われるようになりました。伊勢湾と太平洋に面していることから三重は多様な海産物資源に恵まれており、古代から平安にかけては「贄(にえ)」と言われる主に海産物を朝廷に献上する役目が与えられていました。特に第11代垂仁天皇の皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)がその美味しさから毎年献上を命じたという「あわび」は、三重を代表する海産物です。「GI三重」のロゴマークにも「束ね熨斗(たばねのし)」という、あわびを薄くむいたものを干してつくる「熨斗あわび」を束ねた形を表した、縁起が良いとされる日本の伝統模様がデザインされています。

原料及び製法

米と米麹は、3等級以上に格付けされた国内産米のみを使用し、水は三重県内で採水した水のみを用いること。これ以外の原料は酒税法で認められた原料のうち、麹を含む米の重量の10%を超えないアルコールのみ添加できます。製法は三重県内において清酒として製造さたもので、製造工程及び貯蔵、容器詰めは三重県内で行うこととなっています。